植物性料理研究家うのゆきこです。
ここ数年でサラダ専門店が誕生したり、焼肉店がサラダバーを置くようになったりと昔に比べると野菜の地位が向上している感があります。
「ベジセントリック」という言葉があり、これは「野菜が主役」という意味の造語。
* ボリュームのあるサラダにナッツをトッピングする
* 野菜を丸ごとローストする
* 野菜を大きく切ってステーキにする
といった工夫で野菜に「主役としての貫録」をつけて楽しむのが「ベジセントリック」です。
ベジセントリックを楽しむためには野菜そのもの質にもこだわりたいところ。
そのこだわりの1つとして「機能性」があります。
* ケルセチンの
豊富なタマネギ
* スルフォラファンの
豊富なブロッコリー
* リコピンを高濃度に
含むトマト
これらは見た目はごくふつうの野菜に見えますが、機能性成分を高めた「機能性野菜」と呼ばれるものです。
今から5年前に「機能性表示食品」の制度が施行されましたが、この制度で、野菜、果物、穀物などにも機能性の表示ができるようになりました。
それまでのトクホ(特定保健用食品)の制度では、主にサプリメントなどの加工食品や一部の飲料ばかりが効能効果の表示をしており、野菜や果物、穀物などは蚊帳の外でした。
しかし機能性表示の制度のもとで効能効果の表示ができる対象が食品全体に広がり、農産物や水産物などの生鮮食品も対象になっています。
それ以降、「機能性」という付加価値のついた野菜が次々と生み出されています。
これらを「機能性野菜」と呼びます。
「機能性野菜」には、
<タイプA>
普段よく見かける「なじみ深い」野菜だが、機能性成分が多く含まれることが近年になって分かってきたり新しい機能性成分が発見されたりして注目されているもの
例:
* イソフラボンを含む大豆
* アントシアニンを含むナスなど
<タイプB>
これまであまり見かけなかったが、機能性成分が多く含まれるということで話題になり、
だんだんとスーパーの店頭でも見られるようになってきているもの
例:
* ボルシチの材料にも
使われるビーツ
* パープル野菜など
<タイプC>
機能性成分を多く含むように特別に育成されたり、品種改良されたりしたもの
例:
* ケルセチンを増量した
タマネギ
* リコピンを高濃度に
含むように育てたトマトなど
という3タイプがあります。
機能性野菜がどんどん市場に出てくるようになるとこれまでサプリメントに頼っていた人たちが野菜に「戻る」ことが予想されています。これは「農産物への回帰」と呼ばれ、
欧米ですでに始まっている現象です。また機能性野菜の登場に影響され以下のような消費トレンドが生まれると考えられます。
* スポーツ選手は
「機能性野菜」を 選ぶようになるでしょう。
* 一般の生活者も、
「抗酸化力のある野菜」、「免疫系に役立つ野菜」、「デトックス系の野菜」などを「目的別に」買い分けるようになるでしょう。
これからいろいろ出てくる機能性野菜にベジセントリックの発想を加えてプラントベースの食生活を大いに楽しみたいですね。