植物性料理研究家・うのゆきこです。
今回は【プラントベース食(植物性料理)】のタイプについて書いてみたいと思います。
ひとくちに【プラントベース食(植物性料理)】といっても、その種類はさまざま。
大きく分けると、
1)伝統的な植物性料理
2)置換的な植物性料理
3)超加工的な植物性料理
の3つのタイプに分類することができます。
それぞれに、どんなたべものがあるのか、見てみましょう!
<伝統的な植物性料理>とは?
* 精進料理
* 野菜好きの人が好む野菜料理
などがこの分類になります。
「肉や魚の代わりになるもの」というよりは、「それ自体を独立した料理として楽しむもの」という分類です。
精進料理の場合、昔は「肉や魚の代わり」だったものが、今では1つの料理として成立していると考えられるので、この分類に入れています。
和菓子の羊羹もそういう意味ではこの分類に入ります。
羊羹には「羊」という字が入っています。
もともと羊羹の「羹」は「とろ味がかったスープのこと」で、中国の唐の時代に、羊のスープのことを羊羹と呼んでいたそうです。
唐に留学した禅僧が、帰国の際におやつとして奈良の都に持ち帰ったのが始まりだそうです。
でも、禅僧は肉食禁止なので、羊羹を作りたくても羊肉を使えないので、小豆、小麦粉、葛粉といった植物性の材料で羊羹スープ「もどき」が作られたとのこと。
やがて、それが時代を経て甘いお菓子に大変身!
蒸し羊羹となり、江戸時代の半ばごろからは、寒天を用いた練り羊羹が作られるようになり、今日に至っているとされています。
<置換的な植物性料理>とは?
さきほどの「伝統的な植物性料理」が、それ自体を独立した料理として楽しむものであるのに対し、「置換的な植物性料理」には、肉や魚の代わりになるものという性格があります。
前述した「羊羹」は、今でこそ「伝統的な植物性料理」に分類されますが、奈良時代のころは「肉の代わり」として作られたので、当時は「置換的な植物性料理」だったと言えるでしょう。
さて、置換的な植物性料理にもさまざまな例があります。
ちょっと変わった例をあげてみましょう。
アメリカの西海岸では、品種改良により寿司ネタのマグロによく似た質感のトマト、寿司ネタのウナギによくにた質感のナス、が栽培されています。
このトマトやナスを上手に下ごしらえすると、寿司ネタのマグロやウナギと区別がつかなくなるらしく、ビーガンの多い西海岸では重宝されているとか。
日本人としては、とにかく一度は食べてみたいですね!
<超加工的な植物性料理>とは?
このところメディアを騒がせているのが「代替肉」と呼ばれているもの。
テクノロジーを駆使し、豆類や穀類や野菜などの材料を高度に加工してできる、“肉のそっくりさん”です。
その製造技術は日進月歩。
つい数年前まで「代替肉」とは名ばかりの、似てもにつかない(あまり美味しくもない)状態でしたが、今では味や食感はおろか、焼くと肉汁が出るところまで「肉そっくり度」が上がってきています。
「置換的な植物性料理」は
* 原材料が想像できる
* キッチンで作られる
ことに対し、「超加工的な植物性料理」は
* 原材料が想像しにくい
*「ラボ」で製造される
ことが特徴。
そのため、「こんなものはたべものと認めない!」と拒否反応を示す人もいることでしょう。
とはいえ、世界的なトレンドとしては「超加工的な植物性料理」の普及は着実に進んでいくものと思われます。
今はまだ「新奇なもの」「イロモノ」と受け取られていますが、時代を経て変化し、「伝統的なもの」として定着するのかもしれません。
わたしの中での想いは
* 伝統的な植物性料理
* 置換的な植物性料理
* 超加工的な植物性料理
どれも食文化の一端として受容し、楽しむスタンスを守りたいと考えています。
【プラントベース食(植物性料理)】という言葉には、肉好きな人も、野菜好きな人も、
「みんなで一緒に植物性のたべものを楽しもう!」という思いがこめられています。
「ベジタリアン」「ヴィーガン」ではなく「プラントベース」が注目を集める理由はきっとそこにあります。
日本でも世界でも大きなトレンドになりつつある
【プラントベース食(植物性料理)】。
あたらしい時代の
* 食のスタイル
* 食の文化
を一緒につくっていきましょう!
プラントベースフードマイスターとは
https://plant-origin.org/about/